日本人に多いコンプレックスについて

仕事で必要な専門書を買うために、久しぶりに繁華街に出た。ちょっと来ないうちに町はすっかり様変わりして、地上にあったはずの駅まで地下にもぐってしまっていた。少し迷いながらも目的の書店にたどり着き、事前に連絡して取り置いてもらっていた本を購入することができた。店を出ると春と間違える程の暖かい陽気で、ちょっと冷たい飲み物でも飲みたくなった。適当なカフェでもないかとしばらくゆっくり歩いていたら、急に誰かに呼び止められた。

ガイジンだ。青い目のガイジン。とても背が高く、ニット帽の中はきっと金髪であろうその外人さんが、私を見下ろすように見て、何か喋ってる。ワ、ワカリマセン。何を言われたのかもわかっていないのに、私の口から飛び出た言葉はこれだった。道端で声を掛けられたら道案内に決まっている。しかも相手は外国人。知っている場所だったとしても、教えられる自信もない。しかし、その外人さんは笑いながら何かを差し出した。見覚えのある物。私のハンカチだ。お店を出た時に何かの拍子で落としてしまったハンカチを、その人は親切に拾ってくれたのだ。あ、ありがとう。サンキュー。なんとかそれだけ言ってハンカチを受けとると、その人は安心したように去って行った。

本当に情けないと思うのだが、英語が苦手な私は英語を話しそうな人にめっぽう弱い。相手の容姿を見ただけで、たとえ流暢な日本語で話しかけられたとしても、私はあがってしまい、カタカナに聞こえてしまうだろう。英語ができないからだけではない気がする。やはり古くは昭和の初め。日本がアメリカに戦争に負けたことから、そもそもこのコンプレックスは始まっているのではないかと思う。